2009年1月26日月曜日

証明 ~激動の30歳ドキュメント8~

2007年の残暑が厳しいその日、

私はTACの中小企業診断士の「無料講座説明会」というものに参加した。

何故TACかというと、理由は単純である。

「そこしか知らなかったから。」

資格といえばTACであり、大手には、そこまで成長しただけのノウハウや、

料金が絶対安いはず、などの期待から、申し込むならココとほぼ決めていた。

勿論、幾ら知らないとはいえ、LECや大原などの名前は知っていたけど。



無料講座説明会がどんなものだったかといえば、講座の説明みたいなものは

あったのだろうけど、殆ど覚えていない。

覚えているのは、合格者たちのスピーチする姿だった。



スピーチの内容自体は覚えていないが、

経歴や受験生時代の話、今後の展望などだったかな。

印象的だったのは、決して人前でしゃべるのに慣れている人ばかりじゃないだろうけど、

全員が自信を持って、話をしていることだった。

合格したという自信に満ち溢れ、輝いているように見えたのである。

素直に「たいしたもんだなぁ」と感心したものだ。



あと感じたのは、別にTACの良さをアピールしている訳ではなく、

中小企業診断士の素晴らしさ、その資格を得るために勉強することの

素晴らしさを説いているように思えたことだ。

私は、まんまとその戦略に乗せられ(?)申し込みをする決意をしたのであった。



その足で、早速申し込みをしに行き、

コースをどうしようか少し悩んだが、価格的に一番お得感があるように感じた

「1・2次ストレート本科生(通学)」を選んだ。

教育訓練給付金対象だったし、講座説明会の参加特典もあった(と思う)からという、

安易な理由だった。それと、やるからにはストレート合格!と

1次試験と2次試験両方に対応するコースにしたのだ。



しかし、この時(説明会)に、中小企業診断士試験の厳しさ、特にストレートでの

最終合格率は3~4%という超難関であることがわかったのである。

あの壇上にいる人達は、ほんの一握りなのだなと思い、そんなうまくいくかな?と

思ったものだ。この時点で、既に逃げ腰で、1年目は1次試験が合格できれば

いい方かも?と思ったりもした。



そんな思考が錯綜する中、帰宅してみると、TACからもらった資料群の中に、

「中小企業診断士試験 合格の秘訣(2007年度版)」 という書籍が

入っていたので読んでみた。この本は良かった。

受験中にも何度も読み返したものだ。



何が良いかというと、合格者の体験記だ。

受験動機や勉強方法など、受験生時代の経験やノウハウ、意識などが

リアルに感じることができ、読むとモチベーションを上げることができた。

受験する人それぞれにドラマがあるんだなと、私も負けてられない、

合格して、この本に載ってやるか!と思うことができた。



「大丈夫、俺が専門学校にまで通うんだから、必ず合格する。」と、

何の根拠もない自信を持ち、そう思い込むことにした。



正直、何の自慢にもなりゃしないが、

今まで真剣に勉強したという経験が無かった。

学生時代は適当にやってれば、学年トップの成績を修めることができていたので、

高校、大学の受験勉強すら真面目に取り組んだことはなかった。

だから、学歴(大学のレベルなど)というものにも執着がなく、

その時の気分で決めてしまっていた。



ここまで言うと、単なるイヤな奴だが、そんなに大したものでもなく、

結果としては、高校こそ、校風が気に入ったので、県下有数の進学校に

入ったが、大学は地元の大学に適当に推薦で入り、しかも中退したという有様だ。

その当時を振り返ると何にも考えていない、ただのアホなガキだっただけである。

真剣に勉強をすることが格好悪く思えた時期だったのかもしれない。

それが年齢を重ねると共に、強い後悔とコンプレックスを生む事にもなっていた。



真剣に勉強をすることの必要を感じたのは、やはり社会に出て仕事をするようになったから

であった。今までは真剣に勉強をすることから逃げてきた事に他ならないと気付いていた。

仕事を通して自分の能力は周りの人達に示してきたつもりだが、他の何かで、

わかりやすい形で、証明したい、証(あかし)、ハクがほしいとも考えていた。

中小企業診断士の資格取得の目的は別にあるが、ちょうど良い機会とも感じていた。



この時、既に婚約していた彼女に、

「俺が真剣に勉強をしたら、どうなるか見せてやる。」

「俺は絶対に一発で合格してみせる。見てろよ。」

そう息巻き、自分にプレッシャーをかけた。

私の中小企業診断士受験が始まった。



つづく




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